イエスを包んだ【聖骸布】の謎
2010年4月に、イタリアにあるトリノ大聖堂で【トリノの聖骸布】が10年振りに公開されていたようで、ローマ法王ベネディクト16世も訪れたとのこと。
「聖骸布」は、キリスト教で最も神聖視される聖遺物のひとつです。
他の「聖遺物」には、
イエス・キリストが処刑された時に使われた「十字架」や、
「釘」
「茨の冠(いばらのかんむり)」があります。
「聖骸布」は、十字架で処刑されたイエス・キリストの遺体を包み、埋葬するために使われたと言い伝えられてきました。
縦4.4メートル、
横1.9メートルの杉綾織(すぎあやおり)の亜麻布(あまぬの)に、血まみれの男性像がうっすらと浮かび出ており、イエスの全身像といわれればそう見えます。
この聖骸布が出現したのは、
1350年代、フランスのリレの協会で、
1464年には、フランスのサヴォイア公爵家の所有になったが、
1532年に保管していた教会が火事になり、布の端が燃えてしまったようです。
その後、
補修がされトリノ大聖堂に保管されることとなりました。
そして、20世紀に入り技術が進化し、様々な科学的検証が行われました。
まずは、
1969年に実施された亜麻の調査によると、
紀元前に中近東で生産された布であることが分かったそうです。
イエスの時代のユダヤ地方の独特な縫い方がされていることも分かっています。
1976年に行われて調査では、
この地方特有の植物の花粉が付いていたことが判明。
1978年には、
布の足か膝あたりにエルサレムに多い土が付着している事が判明。
その他のにも、聖骸布の人物が裸足で歩き、地面に膝をついたこと、そのために出来た膝の傷があったこと、
顔には打撲が多くありわ鼻の骨が折れていること、
聖骸布には、匂い消しや腐敗防止のため「沈香(じんこう)」、「没薬(もつやく)」が使われており、イエスが埋葬された状況と一致することなどが明らかとなりました。
さらに、
聖骸布の人物の血はAB型で、
手首や足には釘で打たれた穴傷、胸と背中には鞭打ちの傷跡があり、
十字架刑を受けたと見られること、
十字架で死んだあとに脇腹を槍で突かれたこと、
額や後頭部の血痕なら「茨の冠」を被せられた形跡があること、
十字架刑では、死を早めるために通常では足を折るが、
この人物は折られていないことが分かった。
聖骸布の人物の特徴は、全て聖書に記されたイエスの処刑の状況と一致するようです。
その他には、
聖骸布には遺体の腐敗の跡がなく、腐敗
する前に布から離れたと解釈されているようです。
ちなみに、
フランスの数学者デ・ゲール氏は、聖骸布の人物がイエスでない確率はわずか250億分の1であると結論づけています。
ところが…
1988年に、聖骸布は偽物だという衝撃的主張がされた。
バチカンのローマ教皇庁の依頼により炭素年代測定を行った結果、
この布(聖骸布)は1260~1390年の間のものと判明したという。これによって布は後世の誰かの手による偽造だと分かった様です。
だが、しかし…
布には顔料を使った跡はなく、人体像や血痕はきわめて鮮明で残っている。
これだけの偽造品をつくる高度な技術は中世にはあっただろうか?
そこで、聖骸布を製造者として浮上したのが、あの偉大な画家で天才化学者のレオナルド・ダ・ヴィンチ。
彼なら偽造が出来たかもしれない。
2009年11月には、ローマ法王庁の歴史研究家によって、聖骸布から「ナザレのイエス」の名前や「処刑された」という文字が発見され、本物の可能性が強まったと発表されたようだ。
未だ、
この「聖骸布」の謎は残るままだ…。
本日も記事を読んで頂き、ありがとうございます。